神戸 DAY BY DAY にて
11月16日。神戸は三宮にある DAY BY DAY へお越し下さいました皆様、
日曜日の夜にあんなにお集まり頂けて バンド一同 感動の夜でした。
森邊さんの古いお仲間やご家族や同窓生の皆様、お店の常連さま、
そして埼玉の川口市でお目に掛った永田様!
神戸でお会いできるなんて・・しびれました。
それから明日来ちゃん、 やっと会えましたね。
お友達と遊びに来てもらえてとっても嬉しかったです。
本当に皆様、どうも有難うございました!!
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前日からの頭痛が更にひどくなっていた。
起き上るとめまいがして動けない。
でも今日の現場は近いから時間はある。
お風呂でゆっくり身体を温めてウォーミングアップして行けば大丈夫、
そう自分に言い聞かせながら スローモーションで支度を整えた。
午後4時ロビーに集合。「 おはようございます 」と先輩達に挨拶した時、
あぁ良かった声は出る・・・ こんな心持で出発。
ところが、DAY BY DAY に入るなり
どんどん具合がおかしくなってしまった。
身体を縦にしているのが とにかくつらい。
座っていてもずるずるソファへ横たわっていく。
吐き気があり、トイレに行ったけど何も出ない。暫くその場に座り込んだ。
やっとの思いで1曲だけリハをさせてもらうと
またトイレに行っては戻るの繰り返し。
『 今日は俺のお袋も来るし弟も来る。
昔からの仲間達が一堂に会する大事なライヴだから
< I always get lucky with you > をリストに入れてほしい。
自分の体調がどうのこうのは関係ない。
歌詞の内容を説明した後、
今日はこの曲をと俺から言われたって話して歌に入れば
声なんか出なくたって きっとみんなの心に響くと思う。 』
先にバンマスからこう言われていたので
その1曲だけはリハーサルしようと思い、先輩達に譜面を配った。
でも歌い出してすぐ、なぜだか分からないけれど
ふわ~っと涙があふれてきてしまい、途中 歌えなくなってしまった。
自分の顔が冷たいせいか、涙がとても熱く感じる。
今どうして涙が出るんだろう泣いてる場合じゃないのに・・・
と思いながら泣いていた。
そうしてリハが終わり、水を買いにコンビニへ向かった時のこと。
混み合う大通りの数歩先を 先輩達が歩いている。
森邊さんがお友達とすれ違いざま、来てくれて有難うって声をかけている。
そのお方が私を通り越してくれるのを何とか待ってから、
通りっぱたに とうとう うずくまってしまった。
昔ヤンキーだった人なら道路の端にしゃがみ込むなんて
どうって事ないでしょうけどアタシにとっては生まれて初めての経験。
とにかく立っていられず躊躇うヒマもない。
そして、ついに もどしてしまった、、、街路樹の根元に。
大勢の人が行き交って賑わう通りでこんなこと・・・ 信じられない。
この出来事を受け入れられなくて 頭が混乱しそうだった。
動揺しながら店へ戻り、震える手で何度も口をすすいだ。
そして衣装に着替えようとトイレに籠ったのはいいけれど
今度はドレスのファスナーが上がらない。
人前じゃないからさっきよりマシと思いつつも半分までしか上げられず、
さて困った。太ったから?いえ今日は体に力が入らないせいよ、
などと1人議論しているところに コンコンコン とノックの音。
はいスミマセンと応えたら 相手もスミマセンと。
待たせちゃ悪いしと思い、ドレスの前身ごろを胸元で押さえ
「 あの、、すみませんがファスナー上げるのを手伝って頂けますか?」
とドアを開けてみた。するとそこにいらした女性は すっとんきょうなお声で
『 あら~~ みずほさん!!こんな所でお久しぶり~ 』
ジェントルノーツのマドンナ的存在、かおるさんだった。
関西ライヴの時には必ず駆け付けて下さる森邊さんのご学友。
4年ぶりの再会で いきなりコレだもの、お互い笑わずにはいられない。
どれどれと肉を挟むことなくファスナーを上げて頂いて大助かりだった。
このひと幕のお陰で気分が変わり、
自分の体温も少し上がったようにさえ感じた。
無事に着替えて店内へ戻ると
川口のレストランでライヴだった日にお会いした紳士が!
「 うわぁ~ 永田さんどうも有難うございます 」
と握手した時、血のめぐりが良くなったような
頬に赤みが差したような感覚があり、
あぁ生き返った、何とか歌えそうと ひと安心した。
そして本番スタート。ぎゅうぎゅうで目いっぱいの満席。
先輩達、いつもにも増してゴキゲンなプレイを聴かせてくれた。
テナーサックス 呉石二郎。
ピアノ 森田潔。
ギター&ヴォーカル 田中 " ミック " 靖。
ドラムス 森邊浩章
ベースは 2夜連続で小笹了水さん。
本当にバンドサウンドになっていて全員が輝いてる。
こんなのありそうでなかなか無い。
聴き惚れて、自分の出番以外ずっと私も観客になっていた。
お客様方の拍手も力強く、掛け声も熱い。
いいライヴだなぁと思ううち、なぜかまた涙があふれてしまった。
1時間くらい経った頃、突然バンマスが立ち上がって
『 有難うございました。次が最後の曲です 』 とご挨拶。
え、もう終わり?ってビックリしている間にアンコールを戴き、
< Mack the knife > でホントに終了。
今日はワンステージだけだと聞いていなかった私は
セカンドで < I always get lucky with you > を歌うつもりでいた。
結局やらずじまい。
「 あれを歌わなくてすみませんでした。2回あるとばかり思っていて 」
と謝った。そして体調を考え、打ち上げには参加せず
先にタクシーで失礼することに。
その車を拾う間に森邊さんがこんな話をしてくれた。
『 いや、あの曲やらなくてちょうど良かった。
俺たぶん泣いちゃったと思うから。
実は、来るはずだった友達が死んだって
今日その子の友達から知らされたんだ。
19の頃、アメリカ に1人旅したって話したろ。
その旅立つ日に 空港でバッタリ会ってさ、
彼女はキャビンアテンダントになってたんだ。
で、そういう事ならコレ餞別って 1万円札を俺に手渡してくれた。
当時の1万円だよ。あれは忘れられないよ。
去年の同窓会で会った時にその話をしたら彼女も覚えてて
何のあてもなく1人旅だなんて そういう無茶しそうな人だったわって
笑ってた。 じゃまた会おうねって言って別れたんだけどさ・・・ 』
反射的に私は言った。
「 森邊さん、今日その人いらしてましたよ。
もちろん目には見えませんけど。
具合が悪くて吐きそうで、しゃんとしなきゃって焦ってるリハの時、
突然ふわ~っと涙があふれてきて どうしようもなかったんです。
泣いてる場合じゃないのになんで今?って
自分でもすごく不思議でした。
そっか・・・ そういう事だったんですね。
大丈夫、その人ちゃんと聴きに来てくれていましたよ 」
無言でバンマスは頷いていた。
あるお客様がお帰りの際に笑顔でこう仰った。
『 少し前に帯状疱疹やりましてね、今日どうしようかと思いましたけど
今もう痛くも何ともなくなってしまいました。来て良かったです 』
するとピアノの森田さんが にっこりしながら 音楽療法ですねと。
なんとも優しい表情を返されていた。
今回の関西ツアーは ここ神戸 DAY BY DAY への出演を
大阪の山本天馬さんが決めて下さったことから話が進んだ。
メンバー全員の都合がついた事、
小笹了水さんからO K を貰えた事、
関わって下さる全ての方々がこの日まで元気だった事、
川口の永田様が偶然お仕事で関西にお出でだった事や
かおるさんとトイレであんな風に再会できた事も含め、
いろんなラッキーの積み重ねで今日が終わったんだと
感謝で胸がいっぱいになった。
そして思った。明日の岐阜では
< I always get lucky with you > を必ず歌おうと。